
不動産会社として私たちが大切にしているのは、数字の羅列としての事業計画ではなく、その土地が刻んできた時間にどのような新しい価値を添えられるかという「物語」です。
熊本市北区龍田。豊かな住宅地としての顔を持つこの場所に誕生した「エイビス」の企画ストーリーを紐解きます。
現地を訪れたとき、まず感じたのは「空の広さ」と「穏やかな静寂」でした。 多くの不動産企画は「ここに何戸詰め込めるか」「利回りは最大でいくらになるか」という、いわば土地を「容積」として捉える視点から始まります。しかし、私たちは違いました。
この坂道を夕方に歩く人は、どんな表情で家路に就くのだろう。 朝、窓を開けたときに、どのような光が差し込めば「今日も頑張ろう」と思えるだろう。
エイビスの企画は、投資効率の計算式ではなく、そんな「暮らしの解像度」を上げるところから始まりました。
武蔵塚駅から少し離れたこのエリアは、商業地の喧騒とは無縁の、落ち着いた住宅地です。 周囲を見渡せば、長くこの地に住まう方々の戸建てが並びます。一見、賃貸需要が限られるように見えるこの場所で、なぜ私たちはあえて「1Rから2LDKまで」という多様な構成を選んだのか。
それは、このエリアに「上質な日常」を求める潜在的な層がいると確信したからです。 利便性だけを追うなら駅前の狭い部屋でいい。けれど、少し歩いてでも「静かな環境と、ゆとりある居住空間」を求める単身者や、子どもを育む準備を始める若い夫婦が、この龍田という土地にはフィットする。
競合となる駅近のマンションが提供できない「静域という価値」を、私たちはエイビスの強みに据えました。
エイビスの最大の特徴は、ひとつの建物の中に「単身(1R・1LDK)」と「ファミリー(2LDK)」が共存している点にあります。 これは、入居者に「ライフステージが変わっても、この場所を離れなくていい」という選択肢を提示したかったからです。
独身時代に1LDKで快適に過ごした方が、結婚を機に同じ建物内の2LDKへ移る。 あるいは、お子さんが生まれても、慣れ親しんだこの静かな環境を維持できる。
管理効率を優先すれば間取りを統一するのが正解かもしれません。しかし、土地の持ち主であるオーナー様が何十年と守っていく建物であれば、入居者が「定着」し、愛着を持って住み継いでくれる構造こそが、真の安定を生むと考えたのです。
私たちは、設備を「豪華さ」ではなく「ストレスのなさ」で選びました。 インターネット無料、防犯カメラ、オートロック。これらは今や当たり前ですが、大切なのはその「運用」です。
どれほど立派な建物を建てても、清掃が行き届かず、不具合が放置されれば、土地の価値は目減りします。エイビスにおいては、ハードとしての建築だけでなく、入居後の「管理の質」を含めて一つの商品として設計しました。オーナー様の資産を「古びさせる」のではなく「熟成させる」。それが私たちの思想です。
もし、この土地がもっと駅に近く、商業ビルに囲まれた場所だったら、エイビスの企画は失敗していたでしょう。 駅近であれば、効率を重視した「狭小な単身者向け」にするのがセオリーです。しかし、この龍田の住宅地という文脈があったからこそ、あえて「ゆとり」と「多様な間取り」を組み合わせるという、一見非効率に見える判断が、結果として「他にはない選択肢」という競争力を生みました。
土地の性格に抗うのではなく、その性格を最大限に引き出す。エイビスは、龍田の住宅地という土壌があったからこそ咲いた、固有の形なのです。
運営を開始して見えてきたのは、入居者の方々の「丁寧な暮らし」です。 単なる「寝に帰る場所」ではなく、「生活を営む場所」として選ばれているため、退去率が低く、共用部の使われ方も非常に綺麗です。
入居募集において、私たちは「誰でもいいから埋める」という手法はとりません。この建物の思想に共感し、長く住んでくださる方を丁寧にマッチングする。それが結果として、オーナー様の長期的な収益の安定と、近隣トラブルのない健全な運営につながっています。
Q. 利回りを最大化するなら、もっと戸数を増やせたのではないですか? A. はい、物理的には可能です。しかし、戸数を詰め込みすぎると一部屋あたりの満足度が下がり、数年後の「賃料下落」や「高い退去率」を招きます。エイビスでは30年先を見据え、賃料が下がりにくい「広さと質のバランス」を優先しました。
Q. 龍田のような住宅地で、単身者の需要は本当にあるのでしょうか? A. あります。ただし「駅近だから選ぶ層」ではなく「環境がいいから選ぶ層」にターゲットを絞ることが条件です。画一的な1Kではなく、エイビスのように1LDKとしてゆとりを持たせた企画が、その層に深く刺さります。
Q. 管理まで任せることのメリットは何ですか? A. 私たちが企画・設計した意図を、一番理解しているのが私たち自身だからです。「なぜこの設備を入れたのか」「どういう方に住んでほしいか」という背景を知っているからこそ、物件の価値を損なわない細やかな管理が可能になります。
Q. 私の土地でも、エイビスのような企画は可能でしょうか? A. 全く同じものは作れません。土地にはそれぞれ個性があるからです。エイビスの成功パターンをなぞるのではなく、あなたの土地が持つ「声」を聴くことから始めさせてください。
土地活用に、万能な「正解」は存在しません。 あるのは、その土地と、その街と、そしてオーナー様の想いにどれだけ深く向き合えたかという「納得解」だけです。
「この土地、どうしようか」 そんな言葉にできない段階の、ぼんやりとした不安からで構いません。 まずは一度、あなたの土地の物語を、私たちと一緒に読み解いてみませんか。
エイビス
熊本市北区龍田8丁目15-61
JR豊肥本線/武蔵塚駅 歩16分
平成31年2月
鉄筋コンクリート造/地上10階建て
1LDK 30.06㎡ 1LDK 46.25㎡ 2LDK 60.12㎡
南向き