
初めてこの地を訪れたとき、まず目に飛び込んできたのは利便性の高さでした。 周辺には生活を支える商業施設が充実し、どこか活気がある。 けれど、私たちがまず考えたのは「ここに何戸建てられるか」という数字ではありません。
「この街で、どんな人が、どんな荷物を持って家路につくのか」
スーパーの袋を下げた単身者、週末に大きな買い物をするカップル。 彼らが玄関を開けたとき、ほっと一息つける「余裕」をこの土地なら形にできる。 そう確信した瞬間から、企画は動き出しました。
菊陽エリアは、今や誰もが注目する活気ある街です。 しかし、急激な発展は、時に「画一的な住まい」を量産してしまいます。 周囲に似たような賃貸マンションが並ぶなかで、私たちが選んだのは、単身からファミリーまでを包み込む「多層的な間取り」でした。
駅に近いだけではない。買い物が便利なだけではない。 あえてターゲットを絞りすぎなかったのは、このエリアが「一度住むと離れがたい」という独特の定着性を持っていたからです。 ライフステージが変わっても、この利便性を手放したくない。 その潜在的な願いを形にする必要がありました。
1R、1LDK、そして2LDK。 「クイーンズ・イン菊陽」の構成は、一見すると効率が悪いように見えるかもしれません。 しかし、私たちは「長く住み続けてもらうこと」こそが、最終的な土地の価値を守ると考えました。
独身時代に1Rに住んでいた方が、パートナーと出会い、同じ建物内の広い部屋へ移る。 あるいは、ゆとりを求める単身者が2LDKを贅沢に使う。 そんな「暮らしの変化」を許容するボリューム設計は、この土地が持つポテンシャルの高さを信じたからこその判断です。
私たちは、建てて終わりという考えを持っていません。 設備の一つひとつ、仕様の一箇所一箇所に「数年後のメンテナンス」の視点を組み込んでいます。 美しさは大切ですが、それがオーナー様の過度な負担になっては本末転倒です。
管理の現場で何が起きるかを知っているからこそ、あえて過剰な装飾は避け、経年変化に耐えうる質感を優先しました。 「管理しやすい建物」は、結果として入居者の満足度を高め、空室リスクを静かに遠ざけます。
もしこの土地が、商業施設の喧騒のただ中や、駅の目の前という立地であったなら、今回の企画は成立していなかったでしょう。 そこには、回転率だけを追い求める「寝るためだけの部屋」が正解だったかもしれません。
しかし、ここは「買い物の利便性」と「住宅地の落ち着き」が絶妙に溶け合う場所。 だからこそ、腰を据えて暮らせる広さや構成が、ピタリと噛み合ったのです。 土地が持つ「声」を無視して、流行のプランを当てはめることは、最も避けるべきことだと私たちは考えます。
運用のフェーズに入って見えてきたのは、入居者の方々の高い定着率です。 募集の際に「満室になる早さ」を競うのは簡単ですが、大切なのは「いかに長く愛されるか」という質。 入居者が入れ替わるたびに発生するコストを抑え、安定した経営を続けること。 そのリアルな手応えが、私たちの企画が間違っていなかったことを証明してくれています。
Q. 周辺の競合物件と比べて、利回りはどう考えればよいですか? 表面的な利回りだけを追うと、将来の修繕費や空室対策で足元をすくわれます。私たちは、10年後、20年後も「選ばれる」ための投資バランスを、この土地の個性に合わせてご提案しています。
Q. なぜ、入居者の「定着」にそこまでこだわるのでしょうか? 退去後の原状回復コストや募集広告費は、経営における大きな損失です。長く住んでいただくことは、オーナー様の収益を最大化する最も確実な方法だからです。
Q. 建てた後の管理までお任せするメリットは何ですか? 現場の声を次の企画に活かせるからです。「何が不評で、何が喜ばれるか」という真実を知っているからこそ、地に足の着いたアドバイスが可能になります。
Q. 私の土地でも、同じような多世代向け企画が成立しますか? 正直に申し上げれば、土地によります。立地条件や周辺環境が違えば、正解は180度変わります。私たちは、その土地にしかできない「ただ一つの解」を探すことから始めます。
どんなに優れた成功事例も、別の場所でそのまま通用するとは限りません。 土地にはそれぞれ、呼吸があり、適した住まい方があります。
「クイーンズ・イン菊陽」は、この場所だったからこそ生まれました。
もし、ご自身の土地の未来に迷いがあるのなら。 まずは数字の話ではなく、その土地の「これからの暮らし」について、静かに対話することから始めてみませんか。
次は、あなたの土地の話を聞かせてください。
クイーンズ・イン菊陽
熊本県菊池郡菊陽町津久礼68-4
令和元年8月
鉄筋コンクリート造/10階
30.6㎡
南向き