
初めてその土地に立ったとき、真っ先に感じたのは「音のなさと、光の柔らかさ」でした。 数字上の利回りや、どれだけ効率よく部屋を詰め込めるか。そんな不動産会社としての性(さが)を一度脇に置き、私はそこでの「暮らし」を想像しました。
武蔵塚駅から少し歩いた、龍田の住宅街。 ここに住む人は、仕事から帰ってきたとき、どんな安らぎを求めるだろう。 その答えを形にすることから、「EPCOT」の企画は動き出しました。
一般的に、駅から距離のある住宅地での土地活用は「ファミリー向け」が定石とされます。しかし、私たちはあえて「単身者」という選択をしました。
近隣には成熟した住宅街が広がり、生活利便施設も整っている。ならば、賑やかな駅前よりも「落ち着いて自分自身の時間を過ごしたい」と願う単身層の需要が必ずあるはずだ、と考えたのです。 周辺の競合物件が「寝るための場所」を提供しているなら、私たちは「帰りたくなる居場所」を作る。この静かな差別化が、EPCOTの核となりました。
プランニングにおいて私たちが最もこだわったのは、1R・1SRという間取りでありながら、30平米を超える専有面積を確保したことです。
「単身向けなら20平米で十分」という考え方は、作り手の効率論に過ぎません。 趣味の道具を広げられる、あるいは在宅ワークのデスクを置いても圧迫感がない。 「ここなら住み替えなくていい」 入居者にそう感じてもらうための「ゆとり」こそが、長期的な空室リスクを抑える最大の武器になると判断しました。
EPCOTのコンクリートの質感は、歳月を重ねるほどに街に馴染んでいきます。 オートロックや防犯カメラ、ディンプルキー。これらは単なるスペックではなく、一人暮らしの平穏を守るための「安心というインフラ」です。
私たちは、建物が完成した瞬間をゴールとは考えていません。 数年後、外壁に少しずつ表情が出てきた頃に、「やっぱりここを選んでよかった」と思える管理体制を敷くこと。運用を見据えた設備選定は、オーナー様の資産を守ることに直結します。
もし、この計画を駅前の繁華街や、人通りの激しい幹線道路沿いで行っていたら、おそらく失敗していたでしょう。 駅近であれば、もっと回転率重視の狭い部屋にするべきですし、商業地なら店舗併用も検討すべきです。
「EPCOT」が成立したのは、この龍田というエリアの持つ「穏やかさ」があったからです。 土地の性格と、提供する価値。この二つが無理なく噛み合ったとき、建物はただの箱ではなく、街の資産へと変わります。
募集を開始すれば、新築ですからすぐに満室になるかもしれません。 しかし、私たちが本当に重視しているのは「どれだけ長く住み続けていただけるか」です。
入居者が頻繁に入れ替わることは、クリーニング費や募集経費を増大させ、オーナー様の収益を圧迫します。定着率の高い物件は、結果として最も高い収益性を生みます。EPCOTが体現しているのは、そんな「急がない、けれど確実な」運用の形です。
Q. 駅から距離があっても、入居者は決まりますか? A. 「駅近」というスペックだけで選ぶ層は、より新しい駅近物件ができれば去っていきます。私たちは立地の静けさをメリットと捉える層へ、広さとデザインという「代えのきかない価値」をぶつけることで、立地のハンデを強みに変えています。
Q. 1Rや1SRで30㎡超えは、少し贅沢すぎませんか? A. 投資効率だけを見れば、部屋数を増やす方が正解かもしれません。しかし、現在の入居者は「広さ」と「質の高さ」に敏感です。周辺の1Rと競合せず、独自のポジションを築くための意図的な設計です。
Q. 建てた後の管理まで任せるメリットは何ですか? A. 企画した私たちが管理も担うことで、設計時に込めた意図(例えばメンテナンスのしやすさや入居者像の維持)を最後まで一貫して守ることができます。建物は、生き物のように育てるものだと考えています。
Q. 私の持っている土地でも、同じような企画は可能でしょうか? A. 全く同じものは作りません。土地の形状、日当たり、近隣の雰囲気。一つとして同じ土地はないからです。EPCOTの成功事例を「型」にするのではなく、貴方の土地の「声」を聴くことから始めます。
土地活用に、万能な正解など存在しません。 あるのは、その土地の特性をどう解釈し、どんな未来を描くかという「意志」だけです。
「EPCOT」という一つの答えを見て、何かを感じていただけたなら。 まずは収支計画書を広げる前に、その土地が持つ可能性について、ゆっくりお話しさせてください。
EPCOT
熊本県熊本市北区龍田 7丁目29-54
JR豊肥本線 「武蔵塚」 駅から徒歩20分
2023年09月30日
鉄筋コンクリート造 /地上6階
1SR 34.02㎡/1R 30.37㎡
南西